事業承継をどうしたらいいか悩む二代目が直面する課題とその解決策
「事業承継、二代目、どうしたらいい」と悩んでいませんか?
私自身、中小企業診断士でありながら事業承継の二代目として自分が直面した時には、やはりどうしたらいいのか悩みました。
この記事では、私が経験したことも含め、二代目経営者として事業承継を成功させるための準備と心構えを、具体的なステップと合わせて解説します。
事業承継を取り巻く現状や、二代目経営者が直面する課題、よくある失敗例、事業を承継するにあたって、まず何から始めればいいのか分からない、先代との関係に悩んでいる、従業員の理解を得られるか不安、そもそもどうしたらいい?など様々な悩みを抱えておられることでしょう。
この記事では、具体的なノウハウをできるだけ簡単に解説しています。(簡易過ぎるかもしれませんが。。)
中小企業診断士や商工会議所といった事業承継関連の相談先情報も記載していますので、事業承継を成功に導くための万全なサポート体制を提供します。
Contents
1. 事業承継の現状と二代目経営者の課題
日本の企業、特に中小企業において、事業承継は喫緊の課題となっています。
高齢化が進む中で、後継者不足による廃業リスクが高まっている現状があります。
二代目となるあなたが、スムーズな事業承継を実現するためには、現状と課題を正しく理解することが重要です。
1) 事業承継を取り巻く厳しい現実
中小企業庁の調査1によると、2025年までに平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人、後継者が未定の企業は約半数に上ると言われています。
後継者不足によって黒字経営でありながらも廃業を選択する企業も少なくありません。
これは、雇用や地域経済への大きな損失につながる可能性があります。
また、後継者が決まっている場合でも、円滑な承継が行われなければ、企業の競争力低下や従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。
さらに、事業承継は単なる経営者の交代ではなく、経営理念、技術、ノウハウ、顧客関係など、企業のあらゆる資産を次世代に引き継ぐプロセスです。
このプロセスには、時間と労力、そして綿密な計画が必要です。
どうしたらいいのでしょう?
2) 二代目経営者が事業承継で直面するよくある問題
二代目経営者は、先代が築き上げてきたものを継承しつつ、新たな時代に対応した経営を行うという難しい役割を担っています。
彼らが直面する問題は多岐に渡ります。
課題 | 詳細 |
---|---|
先代との関係 | 先代の経営方針との違いや、先代からの過干渉など、先代との関係に悩む二代目経営者は少なくありません。 先代の功績を尊重しつつも、自分自身の経営スタイルを確立していくことが重要です。 |
従業員との関係 | 先代からの信頼が厚い古参の従業員との関係構築は、二代目経営者にとって大きな課題です。 従業員とのコミュニケーションを密にし、可能な範囲で信頼関係を築く努力が求められます。 |
デジタル化への対応 | 急速に進むデジタル化に対応していくためには、IT技術の導入や業務プロセスの改革など、時代に合わせた経営戦略が不可欠です。 |
財務状況の把握と管理 | 先代が築き上げてきた財務状況を正しく把握し、健全な経営を維持していくことは重要です。 資金繰りや税務、設備投資など、財務に関する知識を身につける必要があります。 |
事業の成長と革新 | 既存事業の維持だけでなく、新たな事業展開やイノベーションに挑戦していくことも求められます。 市場の変化を的確に捉え、柔軟な経営判断が必要です。 |
これらの課題を解決するためには、二代目経営者自身の努力だけでなく、外部の専門家や支援機関の活用も有効です。
事業承継は企業の未来を左右する重要なプロセスであり、関係者全員が協力して取り組むことが成功の鍵となります。
2. 事業承継を成功させるための準備
事業承継を成功させるためには、十分な準備が必要です。
準備不足は、事業の縮小や倒産につながる可能性もあるため、時間をかけて慎重に進める必要があります。
ここでは、具体的な準備項目について解説します。
1) 事業承継後の経営理念・ビジョンの共有と再構築
事業承継において、経営理念とビジョンの共有は最も重要な要素の一つです。
先代が築き上げてきた理念・ビジョンを二代目経営者が理解し、継承していくことはもちろん、時代に合わせて再構築していくことも必要です。
先代と後継者がしっかりと話し合い、共通の認識を持つことが、スムーズな事業承継の第一歩となります。
例えば、先代の経営理念を基盤としつつ、後継者(二代目)が考えるビジョンやニーズを反映させた新しい理念を策定するなど、柔軟な対応が求められます。
この過程で、中小企業診断士など外部のコンサルタントを活用するのも有効な手段です。
2) 事業承継にあたり事業計画の策定と実行
具体的な事業計画を策定し、実行していくことは、事業承継を成功させる上で欠かせません。
現状分析を基に、具体的な数値目標を設定し、実現に向けた戦略を立案する必要があります。
① 現状分析の重要性
現状分析では、SWOT分析などを用いて、現時点の自社の強み・弱み、機会・脅威を客観的に評価します。
市場動向や競合他社の状況なども分析し、事業を取り巻く環境を正しく理解することが重要です。
これらの分析結果を基に、将来の事業展開の方向性を明確にします。
② 具体的な数値目標の設定
現状分析に基づき、売上高や利益率などの具体的な数値目標を設定します。
目標設定は、フレームワークのひとつであるSMARTの原則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限付き)に沿って行うことをおススメします。
わかりやすいフレームワークですので、活用してみてください。
明確な目標を設定することで、進捗状況を把握しやすく、モチベーションの維持にもつながります。
3) 財務状況の把握と管理
事業承継において、財務状況の把握と管理は非常に重要です。
後継者(二代目)となるあなたが、財務資料をどの程度読み取れることができるのかは大きく影響しますが、わからない場合は、税理士などに頼って財務資料の読み取りポイントなどを教えてもらいましょう。
ベンチマークとなる数値を理解できたら、適宜確認を行いながら健全な財務状況を維持することで、事業の安定性を確保し、将来の成長への基盤を築くことができます。
① 資金繰り対策
資金繰りの悪化は、事業継続を脅かす大きな要因となります。資金繰り表を作成し、将来の資金需要を予測することで、資金不足に陥るリスクを軽減できます。
資金繰りは月単位で問題ないケースもあれば、厳しい場合は月内でも資金繰りの悪化するタイミングを確認しながら、支払いが可能か判断しましょう。
また、資金繰りに問題がある場合は、日本政策金融公庫などの金融機関からの融資や、助成金の活用なども検討しましょう。 日本政策金融公庫
② 税務対策
事業承継には、相続税や贈与税などの税金が発生する可能性があります。
私が対応してきた多くの事業者様は、勝手な思い込みをしてしまうことが多々あり、想定以上の出費に遭遇してしまうことがあります。
事前に税理士などの専門家に相談し、適切な税務対策を講じることで、税負担を軽減することができます。 国税庁
4) 事業承継後の組織体制の整備と人材育成
後継者(二代目)がスムーズに経営を引き継げるよう、組織体制を整備し、人材を育成することも重要です。
特に、後継者(二代目)となる人材の育成は、事業の将来を左右する重要な課題です。
① 後継者育成プログラムの構築
後継者育成プログラムを構築し、計画的に後継者(二代目)を育成していくことが重要です。
プログラムには、経営に関する知識やスキルを習得するための研修や、OJTによる実践的な指導などを盛り込みます。
また、メンター制度を導入し、経験豊富な社員が後継者(二代目)をサポートする体制を整えることも有効です。
② 従業員とのコミュニケーション
後継者(二代目)は、事業承継後に社長として、従業員との良好なコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことが重要です。
従業員の意見に耳を傾け、風通しの良い職場環境を作ることで、組織全体のモチベーション向上にもつながります。
5) 事業承継に適した時期と方法の選択
事業承継には様々な方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
自社の状況に合わせて最適な時期と方法を選択することが重要です。
① 事業承継のタイミング
事業承継のタイミングは、先代社長の年齢や健康状態、後継者(二代目)の準備状況などを考慮して決定します。
早すぎる承継は後継者(二代目)の成長を阻害する可能性があり、遅すぎる承継は事業の停滞を招く可能性があります。
適切なタイミングを見極めることが重要です。
② M&A、親族内承継、従業員承継など
承継方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
親族内承継 | 事業の継続性が高い、経営理念の継承が容易 | 後継者(二代目)候補が限られる、親族間の感情的な問題が生じる可能性 |
従業員承継 | 事業への理解が深い、従業員のモチベーション向上 | 後継者育成に時間と費用がかかる、資金調達が難しい場合がある |
M&A | 事業の拡大・多角化、経営資源の獲得 | 企業文化の融合が難しい、買収費用が高額になる場合がある |
上記以外にも、事業を清算する選択肢もあります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社にとって最適な方法を選択しましょう。経済産業省 事業承継
3. 後継経営者として事業承継後の心構え
事業承継を成功させるためには、技術や知識だけでなく、後継(二代目)経営者としての心構えも重要です。
先代社長が築き上げてきたものを尊重しつつ、新たな時代を切り開くための柔軟な思考と行動が求められます。
1) 先代社長からの学びと自分らしさの両立
先代社長から学ぶべきことは多くあります。
長年培ってきた経験や知識、顧客との関係性などは、事業を継続していく上で貴重な財産です。
謙虚な姿勢で先代社長の教えを吸収し、事業の根幹を理解することが大切です。
ただし、先代社長のやり方をそのまま踏襲するだけでは、変化の激しい現代社会において生き残ることはできません。
先代社長の良い部分は継承しつつ、自分自身の個性や強みを活かし、新たな価値を創造していくバランス感覚が重要です。
時代に合わせて変化させていくべき点は積極的に変革していく勇気も必要です。
2) 変化への対応とイノベーション
現代社会は常に変化しています。
技術革新や顧客ニーズの変化、競合の出現など、企業を取り巻く環境は常に流動的です。
変化の兆候をいち早く察知し、柔軟に対応していくことが、事業継続の鍵となります。
先代社長の成功体験に固執せず、常に新しい情報を収集し、市場の動向を分析することで、変化への対応力を高めることができます。
さらに、既存の事業にとらわれず、新たな事業展開やイノベーションに挑戦することも重要です。
新規事業の立ち上げや既存事業の改革など、常に挑戦的な姿勢を持つことで、持続的な成長を実現できます。
3) ステークホルダーとの良好な関係構築
企業経営は、従業員、顧客、取引先、地域社会など、様々なステークホルダーとの良好な関係の上に成り立っています。
先代から受け継いだ良好な関係性を維持しつつ、自分自身の信頼関係を構築していくことが重要です。
そのためには、それぞれのステークホルダーとのコミュニケーションを密にし、ニーズや課題を的確に把握する必要があります。
経営者が変わるという事に、多くの関係者は不安を感じていることは、肝に銘じておきましょう。
① 従業員、顧客、取引先、地域社会との関係性
従業員に対しては、経営理念やビジョンを共有し、働きがいのある職場環境を整備することで、モチベーション向上と人材定着を図ります。
顧客に対しては、高品質な製品やサービスを提供し続けることで、信頼関係を構築し、顧客ロイヤルティを高めます。
取引先に対しては、公正で透明性の高い取引を行うことで、長期的なパートナーシップを築きます。地域社会に対しては、地域貢献活動などを通じて、地域社会との共生を図ります。
ステークホルダー | 具体的な取り組み |
---|---|
従業員 | 経営理念・ビジョンの共有、働きがいのある職場環境整備、適切な評価と報酬制度、教育訓練機会の提供 |
顧客 | 高品質な製品・サービスの提供、顧客ニーズの把握と対応、顧客満足度向上への取り組み、アフターサービスの充実 |
取引先 | 公正で透明性の高い取引、情報共有と連携強化、Win-Winの関係構築 |
地域社会 | 地域貢献活動への参加、雇用創出、環境保全への取り組み |
4) 事業承継後のトラブル事例と対策
事業承継後には、様々なトラブルが発生する可能性があります。
事前にトラブル事例を把握し、対策を講じておくことで、トラブル発生時の対応をスムーズに行うことができます。
① 後継者と先代の確執
後継者(二代目)と先代社長の確執は、事業承継における代表的なトラブルです。
経営方針の違いや世代間の価値観のギャップなどが原因で、対立が生じることがあります。
私も経営方針が異なることで、先代社長と協議することが何度もありました。前向きに対応することが重要です。
事業承継前から、事業承継後においても後継者(二代目)と先代社長がしっかりと話し合い、お互いの考えを理解し合うことが重要です。
また、第三者である専門家などを交えて話し合うことで、感情的なやりとりを避け、客観的な視点を取り入れることができます。事業承継ガイドライン(経済産業省)
② 従業員の反発
新しい経営体制への反発や、後継者(二代目)への不信感などから、従業員のモチベーションが低下したり、退職者が増加したりする可能性があります。
事業承継前に従業員にしっかりと説明を行い、理解と協力を得ることが重要です。
また、後継者(二代目)は従業員と積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築していく努力が必要です。事業承継・引継ぎ補助金(中小企業庁)
4. 事業承継をスムーズに進めるための相談先
事業承継は、企業の存続と発展に不可欠なプロセスですが、複雑な手続きや判断を伴うため、多くの経営者が不安や悩みを抱えています。
スムーズな事業承継を実現するためには、適切な相談先を見つけ、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
公的な相談窓口は、多少の制限はありますが、無料で相談できることが多いので、利用しない手はありません。
ここでは、事業承継に関する相談窓口や支援機関、専門家について詳しく解説します。
1) 公的機関の相談窓口
国や地方自治体では、事業承継に関する様々な支援策を提供しています。
これらの機関は、無料で相談に応じたり、補助金や融資制度などの情報を提供したりしています。気軽に相談できる窓口として活用しましょう。
相談窓口 | 概要 | リンク |
---|---|---|
事業承継・引継ぎ支援センター | 事業承継に関する総合的な相談窓口。専門家による相談やマッチング支援などを行っています。 | 事業承継・引継ぎ支援センター |
日本政策金融公庫 | 事業承継に特化した融資制度を提供しています。 | 日本政策金融公庫 |
都道府県・市区町村の商工会議所/商工会 | 地域密着型の支援機関として、事業承継に関する相談やセミナー開催などを行っています。 | 日本商工会議所 全国商工会連合会 |
2) 専門家への相談
事業承継には、法律、税務、財務、経営など、多岐にわたる専門知識が必要です。
さまざまな場面でどうしたいいか悩んだら、専門家に相談することで、より具体的かつ効果的なアドバイスを受けることができます。
① 中小企業診断士
中小企業診断士は、経営全般に関する専門家です。
事業承継やM&Aに携わることも多く、事業承継計画の策定、事業の現状分析、後継者育成など、幅広いサポートを提供しています。
経営革新等支援機関として認定されている中小企業診断士は、補助金申請などの支援も行っている方が多いので、相談されるのも良いと思います。
② 税理士
税理士は、税務に関する専門家です。
事業承継に伴う税金対策、相続税対策、贈与税対策など、節税対策を含めたアドバイスを提供します。
税務上の課題を解決するために、税理士への相談は不可欠です。
事業承継後も、決算などで頼りになります。
③ 弁護士
弁護士は、法律に関する専門家です。
事業承継に伴う法的な手続き、契約書の作成、紛争解決など、法的トラブルを未然に防ぐためのサポートを提供します。
特に、M&Aや事業譲渡など複雑な取引を行う場合は、弁護士の助言が重要です。
顧問契約をしていなくても、何か発生した際にすぐ相談できる弁護士を確保しておくといいでしょう。
④ M&Aアドバイザー
M&Aアドバイザーは、M&Aに関する専門家です。
M&Aによる事業承継を検討している場合、適切な相手企業の選定、交渉、契約締結など、M&Aプロセス全体をサポートします。
事業承継だからM&Aの専門家は必要ないと思われたとしても、将来に一部事業をM&Aする可能性もありますので、こちらも相談できる専門家を確保しておくといいでしょう。
3) その他の支援機関
上記以外にも、事業承継を支援する様々な機関があります。
それぞれの機関が提供するサービス内容を比較し、自社に合った支援機関を選びましょう。
支援機関 | 概要 | リンク |
---|---|---|
全国中小企業団体中央会 | 中小企業の育成・振興を目的とした団体。事業承継に関するセミナーや相談会などを開催しています。 | 全国中小企業団体中央会 |
地域金融機関 | メインで使っている金融機関がおススメです。 地方銀行や信用金庫などの地域金融機関も、事業承継に関する相談窓口を設けている場合があります。 融資制度の活用と合わせて相談してみましょう。 | 全国銀行協会 |
事業承継は、企業の未来を左右する重要な経営課題です。
適切な相談先を見つけ、専門家の知見を活用することで、スムーズな事業承継を実現しましょう。
5. 後継(二代目)経営者がどうしたらいいか、事業承継における具体的なステップ
最後になりましたが、後継者(二代目)がご自身で進められる事業承継における具体的なステップをご紹介します。
事業承継を成功させるためには、綿密な計画と準備が必要です。
後継(二代目)経営者として、具体的にどのようなステップで進めていけば良いのか、以下にご説明します。
1) 現状分析と課題の明確化
まずは、事業の現状を客観的に分析し、課題を明確にすることが重要です。
現状分析には、財務諸表の確認だけでなく、市場動向、競合他社の分析、顧客ニーズの変化、社内体制、技術力など、多角的な視点が必要です。
① SWOT分析の実施
SWOT分析を用いることで、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理し、客観的な視点で現状を把握できます。
この分析を基に、具体的な課題と解決策を検討します。
例えば、財務状況の悪化が課題であれば、その原因を分析し、外部環境や内部資源を再確認して売上向上策やコスト削減策を検討します。
② 事業デューデリジェンスの活用
事業デューデリジェンスとは、事業の現状を詳細に調査し、価値やリスクを評価する手法です。
こちらは簡単ではありませんので、中小企業診断士や税理士などの専門家に任せることをお勧めします。
財務デューデリジェンス、事業デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、人事デューデリジェンスなどがあり、ある程度の規模がある企業であれば、専門家を活用することでより精度の高い分析が可能です。
デューデリジェンスによって潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることが事業承継の成功には不可欠です。
2) 事業承継プランの作成
現状分析に基づき、具体的な事業承継プランを作成します。
事業承継プランには、承継の時期、承継の方法、経営体制、事業戦略、財務計画、リスク対策などを盛り込みます。
また、関係者への説明や合意形成のプロセスも明確にしておく必要があります。
可能であれば、後継者(二代目)が主導で、進めて行かれることをおススメしますが、難しいようであれば中小企業診断士などにファシリテーターを依頼されても良いと思います。
① 事業承継スケジュール
時期 | 実施内容 | 担当者 |
---|---|---|
1年後 | 後継者育成開始、事業承継プラン策定開始 | 先代、後継者、顧問税理士、顧問中小企業診断士 |
3年後 | 事業承継スキーム決定、関係者への説明 | 先代、後継者、弁護士 |
5年後 | 事業承継の実行 | 先代、後継者、顧問税理士、顧問中小企業診断士 |
上記はあくまで一例であり、自社の状況に合わせて具体的なスケジュールを策定する必要があります。
事業承継は長期的なプロセスであることを認識し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
② 事業承継スキームの検討
親族内承継、従業員承継、M&Aなど、様々な事業承継スキームがあります。
自社の状況や後継者の能力、経営環境などを考慮し、最適なスキームを選択する必要があります。
それぞれのスキームにはメリット・デメリットがあるため、中小企業診断士や税理士、事業承継やM&Aの専門家と相談しながら慎重に検討することが重要です。
3) 関係者とのコミュニケーション
事業承継は、先代社長、後継者(二代目)だけでなく、従業員、顧客、取引先、金融機関など、多くの関係者に影響を与えるため、円滑なコミュニケーションが不可欠です。
事業承継プランの内容や進捗状況を透明性高く共有し、関係者の理解と協力を得ることが重要です。
場合によっては関係者への説明会を開催されているケースもあります。
① 従業員への説明
事業承継によって、従業員の不安や混乱が生じる可能性があります。
後継者(二代目)のビジョンや経営方針を明確に伝え、従業員の不安を解消する必要があります。
また、従業員の意見を聞き、事業承継プランに反映することで、よりスムーズな承継を実現できます。
② 家族との合意形成
親族内承継の場合、家族の理解と協力が不可欠です。
後継者以外の家族にも、事業承継プランの内容や将来のビジョンを丁寧に説明し、合意形成を図る必要があります。
特に、相続問題との兼ね合いも考慮しながら、家族会議などを開催し、十分な話し合いを行うことが重要です。
4) 専門家への相談
事業承継には、税務、法律、財務、経営など、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。
税理士、弁護士、中小企業診断士、金融機関などの専門家に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。
① 専門家チームの構築
事業承継をスムーズに進めるためには、信頼できる専門家チームを構築することが重要です。
それぞれの専門家の役割を理解し、連携を取りながら進めることで、より効果的なサポートを受けることができます。
② 公的機関の活用
商工会議所や中小企業団体中央会などの公的機関では、事業承継に関する相談窓口を設けており、無料で相談することができます。
これらの機関を活用することで、専門家紹介や補助金などの情報を得ることができます。
6. まとめ
事業承継は、企業の存続と発展にとって非常に重要なプロセスです。
後継(二代目)経営者として成功するためには、入念な準備と適切な心構えが不可欠です。
本記事では、事業承継の現状と課題、成功のための準備、そして二代目経営者としての心構えについてご説明しました。
事業承継を成功させるためには、まず経営理念・ビジョンを共有し、事業計画を策定、実行することが重要です。
また、現状分析に基づいた具体的な数値目標を設定し、財務状況の把握と管理を徹底しましょう。
組織体制の整備と人材育成にも取り組み、後継者育成プログラムを構築し、従業員とのコミュニケーションを密にすることが大切です。
事業承継の時期と方法は、企業の状況に合わせて慎重に選択する必要があります。
M&A、親族内承継、従業員承継など、様々な選択肢を検討し、最適な方法を選びましょう。
後継(二代目)経営者としては、先代からの学びと自分らしさを両立させ、変化への対応とイノベーションを推進していく心構えが重要です。
従業員、顧客、取引先、地域社会など、ステークホルダーとの良好な関係構築にも努めましょう。
事業承継後のトラブル事例を学び、未前に対策を講じることも大切です。
事業承継に関する無料相談窓口や中小企業診断士、商工会議所などの支援機関を活用し、専門家のアドバイスを受けることも有効です。
しっかりと準備を行い、スムーズな事業承継を実現しましょう。