令和元年度補正 ものづくり補助金(2次締切)の申請書の骨子案
今年のゴールデンウィークは基本的に外出自粛なので、自宅で仕事をされていらした方も多いのではないでしょうか。
さて、そのゴールデンウィーク中に「もの補助」の申請書を書かれた方も多いかと思います。
それでは、もの補助の申請書に必要な骨子のご説明に進ませて頂きます。
1、申請書の内容として期待されていること
申請書を作成する上で、最も重要で最も難しいのが「(5)具体的内容」の部分ではないでしょうか。
下記に「参考様式1 事前計画記載事項(2次締切)」より一部抜粋したものを掲示いたします。
説明が加えられていますので、項目別に詳しくみていきましょう。
1)「その1:補助事業の具体的取組内容」の内容
「その1:補助事業の具体的取組内容」として、4項目記載されています。
記載されている内容を読むと、申請書に記載しなくてはならない内容が書かれています。
上記の文章の中から、記載しなくてはならない内容を過剰書きにて抜き出してみました。
①本事業の目的・手段
- 今までの自社での取組の経緯・内容
- 補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性
- 課題解決のため、不可欠な工程及び、開発内容(材料や機械装置等を明確に)
- 具体的な目標及び達成手段
- 事業期間内に投資鶴機械装置等の型番、取得時期、詳細なスケジュール
②応募申請する事業分野
この項目は、国の進める指針やガイドラインに合致した計画であるかどうかを確認する項目となっています。
Aでは「試作品開発・生産プロセス改善」又は、Bでは「サービス開発・新提供方式導入」を選ぶ必要があり、どの技術分野なのか、取組分野なのかを説明するように求められています。
Aの「新商品(試作品)開発」または「新たな生産方式の導入」を選択された方は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」との関連性を、この項目で説明します。
Bの「新役務(サービス)の開発」または「新たな提供方式の導入」を選択された方は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を、この項目で説明します。
③本事業により実現できる差別化及び競争力強化
- 差別化・競争力強化の考え方
- 方法・仕組み
- 実施体制
④特別枠申請の計画内容
- 特別枠の類型の説明(下記の類型から選択)
「サプライチェーンの毀損への対応」
「非対面型ビジネスモデルへの転換」
「テレワーク環境の整備」 - 感染症の影響
- 取組の関係性の説明
2)「その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」の内容
「その2:将来の展望」として、3項目記載されています。
① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等
現在の市場規模を踏まえた上で下記の記載が求められています。
- 成果が寄与する具体的ユーザー
- マーケット及び市場規模等
- 価格的・性能的な優位性・収益性
② 本事業の成果の事業化見込み
- 事業化の目標となる時期
- 売上規模
- 量産化時の製品等の価格等
③ 図表や写真等を用い、具体的かつ詳細に記載
わかりやすい表記を求められているということですね。
3)「その3:会社全体の事業計画」の内容
ここには、基本的に表の中に算出した事業計画を記載しますが、その算出根拠についての説明を求められています。
①「付加価値額」や「給与支給総額」の算出根拠
数字の説明は数字で行うのが望ましいと思いますので、簡易な数式で提示できるならこの欄の下に、根拠となる数式を提示し、説明を加えます。
簡易な数式ではとても説明できないというケースもあるかと思いますので、その場合は、別紙添付などで算出根拠となった資料を提示または、この欄に表を掲示して説明を行います。
- 付加価値額の算出根拠
- 給与支給総額の算出根拠
②本事業計画(表)で示した数値は、補助事業終了後に、事業化状況等報告において伸び率の達成状況の確認を行います。
補助事業終了後に5年間行われる「事業化状況報告」にて伸び率の達成状況を確認されますので、その確認の記載です。
2、審査項目・加点項目も確認します。
「公募要領(一般型(特別枠含む))2次締切」のP19 に「審査項目・加点項目」として記載されています。
この項目では、記載されている内容のご説明と、項目から申請書に記載を求められている内容を書かせていただきます。
(1)補助対象事業としての適格性
公募要領のP6下段「4.補助対象事業の要件」を満たし、3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上 の増加等を達成する取組みであるか、ここはすべてを満たす必要があります。
計画書の中では、当然に上記要件を満たす取組として計画していると思いますので、ここでは説明を割愛させていただきます。
(2)技術面
技術面では下記の4項目が審査項目として記載されています。
① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデア の活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
「中小サービス事業者の生産性向上 のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指 針」に沿った取組みであるか。
ここでは、上記の「その1 ②応募申請する事業分野」の部分でご説明しましたが、ガイドラインや指針に合った取組であることを確認されています。
「試作品開発・生産プロセス改善」又は「サービス開発・新提供方式導入」を選ぶ必要があり、どの技術分野なのか、取組分野なのかを説明するように求められています。
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業 の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
ここは「その1 ①本事業の目的・手段」の項目で記載した下記の項目に対応しています。
- 課題解決のため、不可欠な工程及び、開発内容(材料や機械装置等を明確に)
- 具体的な目標及び達成手段
③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
ここは「その1 ③本事業により実現できる差別化及び競争力強化」の項目で記載した下記の項目に対応しています。
- 差別化・競争力強化の考え方
- 方法・仕組み
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
ここでは「技術的能力」を問われていますので、下記の項目で対応が必要でしょう。
- 実施体制(社内で組織的に取り組めるか)
- 要員の専門知識、経験年数
(3)事業化面
① 補助事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業 を適切に遂行できると期待できるか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
補助事業を行う能力や財務状況を確認する項目ですので、下記の項目の説明を加える必要があります。
- 補助事業の実施体制
- 補助事業を行う人材一覧
- 補助事業の資金調達状況
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与する ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場 ニーズの有無を検証できているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
補助事業で実施した事業が、将来に事業化を達成することができるのか、その対象市場が投資に値する市場規模があるのかを確認する項目です。
下記の項目で説明が必要です。
- 対象となるターゲットユーザー
- 想定している市場ニーズ
- マーケット及び市場規模
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの 遂行方法及びスケジュールが妥当か。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
補助事業の優位性について、論理的に説明を求める部分です。
価格的、性能的に優位性や収益性があるのか、事業に至るまでの遂行方法やスケジュールが妥当であるか、審査員に納得してもらう説明が必要です。
- 差別化や競争力強化の考え方
- 方法・仕組み
- 実施スケジュール
④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、そ の実現性等)が高いか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
申請書では「その3:会社全体の事業計画」で、会社全体の事業計画を記載していますが、ここで聞かれているのは「補助事業」の部分についての事業計画です。
ここでは、会社全体の事業計画を作成する場合に、「補助事業に関わる事業計画」の部分と、「補助事業以外の事業計画」部分に分けて事業計画を作成し、会社全体の事業計画として完成させます。
「補助事業」部分と、「補助事業以外」の部分がわかりやすく記載されているといいですね。
(4)政策面
① 地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果 を及ぼすことにより地域の経済成長を力強く牽引する事業を積極的に展開することが期待 できるか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
「地域の特性」を生かして、高付加価値を創出し、経済波及効果を及ぼし、地域経済をけん引する事業に展開できるかと大きな期待をされています。
個別にこの部分を記載するというより、全体の補助事業計画の中で審査員に感じていただけるような構成になっているといいです。
② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格 な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有 しているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
こちらも差別化を行い、グローバル市場で通用する潜在性を期待されています。
市場のステージはグローバルというほど大きなものでなくても構いません。
自社の特性を生かした差別化できる取組であることが必要です。
③ バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画となっているか。
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
環境に悪影響を与えないものは当然として、可能な限り環境に配慮されていることが求められています。
④ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。[特別枠のみ]
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
昨今の「新型コロナウィルス」の影響を乗り越えられる投資であるか、そのような前向きな取り組みであるかを期待されています。
新型コロナの影響を受けている状況を説明し、その窮状から脱する事業計画であることをアピールするといいでしょう。
- 「新型コロナウィルス」が与える当社への影響
- 当社が考える「新型コロナウィルス」への対応
(5)加点項目
① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
これは「経営革新計画」を承認(または申請済み)されている企業が「成長性加点」を得られる項目です。
② 政策加点:「小規模事業者」又は「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
こちらも「小規模事業者」又は「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」に有利な政策加点となっています。
③ 災害等加点:
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
③-1:「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資等に取り組む事業者(特別枠 の申請者)※1」又は「令和元年度房総半島台風(台風15号)等及び令和元年度東日本台 風(台風19号)の被災事業者(激甚災害指定地域に所在する者に限る)※2」
※1 特別枠で不採択となり、通常枠で再審査される場合に加点されます。
※2 特別枠では、台風等の加点は受けられません。
③-2:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」
「特別枠」申請者が「特別枠」で不採択となった場合や、指定の台風被災事業者に有利な災害等加点となっています。
④ 賃上げ加点等:
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場 内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明し ている事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上 増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画 を有し、従業員に表明している事業者」
④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち 任意適用に取り組む場合」 ※ 最大6項目の加点が可能(添付書類は最大5点)。
通常の補助対象事業の要件では「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円」ですが、この要件を上回る計画を立てた場合に有利な賃上げ加点等となっています。
(6)減点項目
過去3年間に、類似の補助金※の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点
「公募要領〔一般型(特別枠含む)〕(2次締切分)」より抜粋
過去3年以内の下記の事業に採択された事業者に対しては、原点となるようです。
- 平成28年度補正革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業
- 平成29年度補正ものづくり・商業・ サービス経営力向上支援事業
- 平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業
3、申請書の骨子案
ここまで、「参考様式 事前計画記載事項(2次締切)」と「審査項目・加点項目」について見てきましたが、書かれている文言はそのまま使うとよいと思います。
骨子案の組み方で、実施したい補助事業の説明のほとんどが決まるといってもいいでしょう。
タイトルをつけることで、内容を分かりやすく読みやすくなります。
ここで提示している「タイトル」はあくまで「公募要領」に記載されている「文言」を流用したものです。
もっとわかりやすいというタイトルがあれば、そちらをご検討ください。
1)その1:補助事業の具体的取組内容
①本事業の目的・手段
- 当社の事業 ←自己紹介として最初にもってきています。
- 「新型コロナウィルス」による影響について
特別枠の類型の説明(下記の類型から選択)
「サプライチェーンの毀損への対応」
「非対面型ビジネスモデルへの転換」
「テレワーク環境の整備」
感染症の影響
取組の関係性の説明 - 今までの自社での取組の経緯・内容
- 補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性
- 課題解決のため、不可欠な工程及び、開発内容(材料や機械装置等を明確に)
- 具体的な目標及び達成手段
- 事業期間内に投資鶴機械装置等の型番、取得時期、詳細なスケジュール
②応募申請する事業分野
Aの「新商品(試作品)開発」または「新たな生産方式の導入」を選択された方は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」との関連性を、
Bの「新役務(サービス)の開発」または「新たな提供方式の導入」を選択された方は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を、この項目で説明します。
タイトルは下記の例を参考にされてください。
「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」との関連性
又は
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性
③本事業により実現できる差別化及び競争力強化
- 他社との差別化及び競争力強化について
- 方法・仕組み
- 実施体制
④特別枠申請の計画内容
上記の「①本事業の目的・手段」の項目に入れました。
2)その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等
- 成果が寄与する具体的ユーザー
- マーケット及び市場規模等
- 価格的・性能的な優位性・収益性
② 本事業の成果の事業化見込み
- 事業化の目標となる時期
- 売上規模、量産化時の製品等の価格等
以上です。
余談ですが、事業者様からの相談で多くの事業者様があまりできていない事があります。
それは「章立て」の構成です。
このブログでは、この「章立て」を使っていますが、よく聞く「大項目」「中項目」「小項目」や「章」「 節」「 項」というように、レベルを合わせる、同じレベルの項目は並列表記するなどの整理方法です。
章立てを考えた上で、私の場合は下記の番号ルールで並べるようにしています。
大項目 1.タイトル
中項目 1)タイトル
小項目 ①タイトル
更に細かい ア.タイトル
更に更に a.タイトル
というものです。
ご参考になれば幸いです。